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本日のご相談内容


契約書の締結には「署名」または「記名押印」が必要
法律の規定では、契約書の締結には、「署名または記名押印」が必要となります。
「署名」とは手書きでお名前を記載されること、つまり、サインをすることを示します。
「記名押印」とは、ゴム印やパソコンにてお名前や法人名を入力され、実印や会社印を押印することを示しています。
つまり、法律的には手書きでのお名前の記載、または名称をゴム印やパソコン入力で行い、ハンコを押すかのどちらかの方法が必要となります。
こちらの、「署名または記名押印」のどちらが、法律上の証拠書類として優れているかの明確な棲み分けはありませんが、当事者の合意を明確とされるために、「署名後に押印される」ということが間違いのない方法と言えます。
しかし、多くの契約書を締結される場合には、手書きで署名をされることは大変かと思いますので、一定の規模を有している法人等の場合には、記名押印方式をとることが多いと考えられます。
こちらの点、フリーランスや個人事業主の方においては、日々契約書を締結するというご状況はあまり多くないかと思いますので、契約トラブルの防止という観点から、やはり「署名後に押印される」方式でのご締結がよろしいかと思われます。
フリーランスや個人事業主の方は、法人のように届出印がないため、どのようなハンコを使用すれば良いのかというご質問をよくいただきますが、法律的には100円均一などで購入した認印であっても、役所に届け出た個人の実印であってもどちらでも法的には問題ありません。
しかし、100円均一などで購入できる認印の場合、ご自身以外の苗字の方であっても、誰でも購入することができるため、本人が間違いなく契約を締結したことを証明し、契約トラブルを防止するという観点からは、実印での締結が最善です。
署名がなされている場合においてもハンコが押される理由
前述の通り、契約書の締結に関し、「署名」があれば、押印がなくても契約書として有効とみなされています。
しかし、実務上においては、「署名」のみがあり、押印がなされていない契約書はあまりお見受けをいたしません。
これは、法律の規定と実務上の慣習の異なる部分であると考えられます。
日本では、伝統的に押印することに重きが置かれており、押印をすることで確定的断定的にその契約を締結したとみなす文化がありました。
つまり、「押印があれば、最終的な合意に至った」と考えられていた文化があったのです。
現在は、行政にて印鑑を廃止するという流れもあり、このような文化は無くなりつつありますが、商習慣的にはこちらの文化は残っており、「契約書締結には必ず押印が必要」と考えられている事業者様も多いことは確認をしておく必要があります。
こちら側は「署名」のみで契約書を有効に締結していたと考えている場合においても、相手方が「署名はしたけれど、押印をしていないから最終的な合意には至っていない」というように考える方も一定数いらっしゃるということです。
こちらの点、法的には相手方様は間違っているということにはなりますが、実務上においては、法律上の規定のみではなく商習慣に従うことが賢明な場面も考えられるのです。
また、裁判に発展した場合には、総合的に判断がなされることにはなりますが、状況的に「押印が無いため、最終的な合意に至っていたとは考えられない」と判断される可能性は0ではありません。
こちらの点、法の原則論からすると少し矛盾はしていますが、これは法律上と実務上の相反した部分であると考えられます。
契約書における署名や記名の方法
契約書の締結時には、契約の当事者を明確にすることが重要です。
つまり、個人での契約であれば本人のフルネームと住所、個人事業主での契約であれば屋号(本人のフルネームでも可能です)と所在地、法人での契約であれば法人の名称と所在地を記載することになります。
こちらの点、個人や個人事業主における契約締結における法律上の規定では、ペンネーム等の通称の記載による締結も可能とされています。
つまり、契約の当事者が特定できるのであれば、ペンネーム等の通称の記載でも問題ないという見解なのですが、実務上におきましては、よほどの著名な方でない限り、本人特定に困難を要する可能性が高いため、ご本人の名前にて締結することが最善とはなります。
代理人による署名も可能
契約書を締結するときに、何らかの理由で本人が署名または押印ができない時は、代理人による締結も可能です。
もちろん、代理人が本人の承諾を得ずに、勝手に契約を締結することは違法なので、 本人から代理人に対する委任状等の作成は必要となります。
こちらの点、代理人を介入させた場合においては、契約の当事者同士の意思の疎通が充分でなくなってしまうという懸念点があります。
そのため、契約の当事者同士の意思を明確に汲み取れ、かつ、信頼ができる親族の方等を代理人を選定することが必要となります。
しかし、実務上においては、契約書は契約の当事者同士のトラブルを避けるために作成がなされるものであるため、やはり、当事者本人での締結が、法安定上は最善となります。
本日の復習
・法的には、契約書の締結には「署名」または「記名押印」のどちらかが必要
・しかし、実務上は「署名」のみのものは少なく、押印は必須
・個人事業主やフリーランスの方の場合、法人のように届出印がないため、契約トラブルを避けるため(契約の当事者を明確とするため)に実印での締結が最善。しかし、法的には、100円均一で購入した認印でも有効。
・日本においては、昔からの慣習により「ハンコ文化」が根付いており、印鑑の有無は重要視されている。この点、近年は脱印鑑の流れがあるが、実務上においては、まだまだ印鑑の重要性は高い。
・個人事業主やフリーランスの方は、ペンネームなどの名称にて契約を締結することも可能ではあるが、本人の特定が難しくなることを考慮すると、やはり本名(屋号)での締結が最善。
・契約書の締結は代理人でも可能であるが、当事者の合意や意思の疎通が疎かになる可能性を考慮し、当事者同士での締結が最善。

投稿者プロフィール

- 行政書士三浦国際事務所は、中小企業様(個人事業主様・フリーランス様含)の経営・許認可・書類作成専門の行政書士事務所です。マンパワーの少ない中小企業様は、たったひとつのトラブルにより、倒産まで追い込まれることも多々ございます。当事務所では、事業の継続性を最優先に考慮し、各種ご契約書のご案内及び許認可、経営法務をご案内させていただいております。私の行政書士及び経営者、経営コンサルタントとしての知識と経験を事務所に反映させ、中小企業様のリスクを少しでも軽減させていただけるよう日々精進しております。趣味は、海外旅行で2カ国への語学留学を含め、世界5大陸約30カ国100都市以上への渡航経験があります。家庭では、2児の父で、毎日の食事作りを担当しています。
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