Contents
本日のご相談内容


契約の成立と契約書の作成についての回答
法律上においては、契約の成立と契約書作成(締結)に直接的な関係性はありません。
というのも、契約は契約書の締結時において成立するものではなく、「契約の合意」に至った時に成立をしています。
つまり、物の売買に関する契約であれば、「物を売ります、買います」という当事者合意があれば有効なのです(売買契約以外においても、当事者の合意をもって契約が有効に成立します)。
日常生活の中に置き換えると、例えばコンビニで飲み物を購入するときに、わざわざ契約書を締結するということは考えられないと思います。
契約の成立に契約書の作成(締結)が必ず必要であれば、コンビニで飲み物を購入する時にも契約書が必要ということになってしまいます。
しかし、これでは実生活において多大なる不具合が発生してしまうため、レジに飲み物を持っていき、お金を払うことで合意があったとみなし、売買契約の成立を認めているのです。
「契約」と考えると少し難しく感じてしまうかもしれませんが、実は至ってシンプルなものなのです。
そのため、契約成立に関し、法律的には契約書を必ず作成しなくてはならないということではありません。
また、どのような内容で契約を締結するかという点も、「契約自由の原則」の法原則から原則的に自由となります。
先ほどのコンビニの例では、飲み物を100円で売っても、150円で売っても購入者が合意すれば問題ないということです。
もちろん、社会に悪影響を及ぼすような公序良俗に反した契約や、社会通念上不適切な契約な場合には、無効と判断される可能性はありますが、原則的には当事者の合意内容にて有効とみなされます。
この点、契約自由の原則から、契約内容のみでなく、契約書を締結すること自体も自由であると解釈されます(しかし、 農地の賃貸借契約、工事請負契約等の作成義務がある契約書もあります)。
契約の成立と契約書の作成についての注意点とポイント
実務上は契約書の締結は必須
前述の通り、法的には契約書の作成義務はありませんが、実務上は契約書の作成及び締結は必須となります。
特に、中小企業や個人事業主、フリーランスの方にとっては、1つの契約トラブルで事業の継続が難しくなってしまう可能性もあるため注意が必要です。
また、明確に報酬や契約内容を定めておかないと、報酬の未払いトラブルや契約におけるトラブルの発生の可能性のリスクが増加してしまいます。
仮に契約内容に沿い業務等を円滑に遂行した場合においても、契約の相手方が「そんな契約はしていない」と主張した場合、契約書がない場合には契約があったことの証拠を示すことが難しくなることが予想されます。
こちらの点、メールやチャットなどで契約の相手方と連絡を行っていた場合、契約までの経緯や内容等に関し、ある程度証拠が残っているかと思いますが、契約の相手方が「確かに契約内容は協議したけれど、最終的な合意には至っていない」と主張されてしまえば、それまでとなってしまう可能性があります。
そのため、口頭や電話などで合意に至った場合には、法的には不安定な立場におかれてしまう可能性があることの確認が必要です。
口頭や電話などにおける合意の際に、ボイスメモなどに音声を残しておければ、一定の証拠を保全することはできますが、契約の相手方が「これは自分の声ではない」と主張されれば、ご自身の立場が不安定となってしまう可能性があるのです。
上記は可能性の話であり、契約の相手方があまりにも不誠実な設定ではありますが、現実的にこのような事が発生する可能性は0ではないことには、十分注意が必要となります。

契約は信頼を基になりたっている
契約書は、法律的には作成義務はなく、かつ、口頭でも成立するということを前述しました。
つまり、契約の相手方が信頼できる場合であれば、契約書の作成は必須ではないとも考えられます。
そのため、「昔からの付き合いの取引先との場合は、契約書を交わしていない」、「契約書を交わしても、最低限のひな形を使用する」といった場合も少なくないのが実情です。
もちろん、結果的にトラブルが発生しないのであれば、契約書の作成は時間と費用の無駄とも考えられます。
しかし、例えば相手方が、財務状況が不安定となっている状況においても、債務を円滑に遂行してくれるかという点は留意しなくてはなりません。
誰もが自分自身が一番可愛いものです。
自らの資金繰りが芳しくない場合において、他社のことまで考えられるでしょうか。また、考えられたとしても、現実的に支払い能力がない場合も考えれます。
そのため、相手方の「もしも」の時に備えて、「間違いなく契約が締結されていたこと」「(契約書に明確な契約内容を記載し)記載内容の遂行義務が相手方にあること」を契約書締結という形で担保しておかなくてはなりません。
仮に、契約書がない場合には、第三者(行政書士や弁護士)、最終的には裁判官においても、本当に契約が締結されていたかを外観的に判断することが難しくなってしまうためです。
そのため、契約書を作成することは、相手方を信用していないことの裏返しという事業者の方もいらっしゃるかとは思われますが、最終的に自社(自分の事業)や家族を守るために、契約書に契約内容を落とし込んでおくことはとても重要となります。
もちろん、信頼関係を持って取引を行うことや相手方を信頼することは大事なことですが、相手方の状況により、相手方は裏切りに近い言動を行う可能性があることは、十分考慮する必要があります。
本日の復習
・契約の成立自体と契約書締結自体には直接的な関係性は無い(当事者の合意にて契約が成立し、契約書はその合意を明確にするために作成する書面である)。
・契約書の作成及び締結は、法的には不要だが実務的には必須。
・取引の相手方を信頼する事は重要なことだが、事業の継続及びトラブルの防止という観点からは、契約書を締結することが自社(自分の事業)にとっても、相手方にとっても最善である。

投稿者プロフィール

- 行政書士三浦国際事務所は、中小企業様(個人事業主様・フリーランス様含)の経営・許認可・書類作成専門の行政書士事務所です。マンパワーの少ない中小企業様は、たったひとつのトラブルにより、倒産まで追い込まれることも多々ございます。当事務所では、事業の継続性を最優先に考慮し、各種ご契約書のご案内及び許認可、経営法務をご案内させていただいております。私の行政書士及び経営者、経営コンサルタントとしての知識と経験を事務所に反映させ、中小企業様のリスクを少しでも軽減させていただけるよう日々精進しております。趣味は、海外旅行で2カ国への語学留学を含め、世界5大陸約30カ国100都市以上への渡航経験があります。家庭では、2児の父で、毎日の食事作りを担当しています。
最新の投稿
記事一覧2021.08.26「ひな型販売有」ネイリスト業務委託契約書について
記事一覧2021.08.24「悩み解決」契約書は手書きで署名をする必要があるの??
記事一覧2021.08.23「知っておくべき」契約の成立と契約書の作成の関係について
記事一覧2020.10.13「コロナ関連記事」在留資格の専門家として記事を監修させていただきました。

「中小企業(フリーランス含む)経営に差がつくサービス一覧」 | 中小企業経営に役立つサービスを、当行政書士事務所が厳選してご紹介しています。経営の効率化、リスク軽減に是非ご活用ください。 |

行政書士三浦国際事務所へのご書面作成のご依頼〜ご作成の流れ
お問い合わせの際、大変お手数をおかけいたしますが、箇条書きで構いませんので、現在のご状況及びご希望のご書面に関しましてお伝えいただけますと幸いでございます(ご希望のご書面がご不明な場合には、ご一緒にご検討をさせていただきますのでご安心くださいませ)。担当行政書士よりご連絡
お問い合わせを頂いた後、担当行政書士より速やかにご連絡をさせていただきます。お電話でのご案内をご希望される場合は、お気軽にお伝えいただけますと幸いでございます。また、現在のご不明点及び作成書類に関し、お話をお伺いさせていただけますと幸いでございます(ご相談無料でございます)。ご案内書類の送付
作成書類の詳細をご確認させていただき、ご依頼者様にてご不明点がございません場合には、メールまたはLINE、チャットワーク等のオンラインにてお見積書及びご案内書類を送付させていただきます。お振り込み
お見積書及びご案内書類をご確認いただき、正式なご依頼をいただける際には、お見積書にご記載をさせていただいております当事務所指定口座まで、お振込のお手続きをいただけますと幸いでございます。また、誠に恐縮でございますが、お振込手数料は、ご依頼者様負担とさせていただきます。ご振込確認のご連絡
当事務所にてお振込のご確認をさせていただきます。ご入金のご確認をさせていただいた後、速やかにご依頼者様にご一報を入れさせていただき、ご依頼のご書面作成に着手させていただきます。原案作成及びご共有
お振込から3日以内に原案をご共有させていただきます。また、ご納品形式は、word、Excel、PDF、クラウド上など、ご希望に沿って、ご案内させて頂きます(特にご指定がございません場合には、word形式にてご納品をさせていただきます)。ご修正(ご必要な場合)
原案をご覧いただき、修正点がございましたら、お気軽にお伝えくださいませ。ご依頼者様のご要望に沿えるまで、ご修正をさせていただきます。しかし、誠に恐縮でございますが、ご依頼時にお伝えを頂いておりましたご内容を大幅に変更となる場合には、別途ご案内をさせていただけますと幸いでございます。完成(納品)
原案のご内容とご依頼者様のご意向に相違がございません場合には、完成(納品)とさせていただきます。 完成したご書類は、ご依頼者様のご判断にて、ご自由にご使用頂けます。ご印刷はご依頼者様にお願いさせていただいておりますが、ご希望がございましたら、当事務所にてご印刷後、ご郵送をさせて頂きます(誠に恐縮でございますが、送料はご依頼者様負担とさせて頂きます)。よくあるご質問
Q なぜ、他の行政書士または弁護士事務所に比べて、費用が抑えられているのですか?
A 行政書士三浦国際事務所では、ご依頼〜ご作成〜ご納品までの全てのお手続きをオンラインにてご案内をさせていただいており、対面式の他事務所様と比べて、費用を抑えてご依頼頂けるシステムを構築しております。この点、ご希望の場合、お電話またはビデオ通話でのご案内も可能でございますので、対面式と比べてご書面のクオリティが低くなるということはございませんので、ご安心くださいませ。Q 全国(海外)からの依頼は可能ですか?
A 行政書士三浦国際事務所では、オンラインでのご案内とさせていただいており、全国及び海外から多くのご依頼をいただいております。Q 正本と副本を作成すると2倍の料金ですか?
A 副本とは、一般的に正本の写しを示します。つまり、正本と副本のご記載内容は同一となります。そのため、正本と副本を作成される際にも、料金は同一でございます。Q 依頼後にキャンセルはできますか?
申し訳ございませんが、ご依頼頂いたタイミングにて、作成に着手をさせていただきますため、ご依頼後のキャンセルは不可とさせて頂いております。Q 作成の書類に不備があったらどうなりますか?
A 契約書等の不備が直接の原因で損害を被られた場合は、賠償させて頂きます。報酬額の3倍の額の損害賠償額を予定としております。Q 作成した書類の秘密は守られますか?
A 行政書士には、厳しい守秘義務がございます。そのため、お伝えをいただきました情報の管理を徹底しておりますのでご安心くださいませ。